ニュースリリース - 2008/1/28

東京大学とトレンドマイクロが情報セキュリティ分野の共同研究で連携

~1200万以上38カテゴリに渡る大規模Webページデータの「Webリンク構造の解析」成果を発表~

 国立大学法人東京大学(総長:小宮山 宏、以下東京大学)とトレンドマイクロ株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長兼CEO:エバ・チェン、以下トレンドマイクロ)は、現在及び未来の情報セキュリティにおける諸問題を解決する知見の創出と新技術の研究において、東京大学の有する学術研究能力とトレンドマイクロの有する世界的なデータ・ノウハウを融合し、産学で連携した取り組みを進めていくことを発表します。  これは、東京大学産学連携の価値創造型産学連携創出スキームである「Proprius21」(※1)共同研究を使っています。また、本連携における共同研究の第1弾として2007年6月から2008年1月にかけて進めている「Webリンクの構造解析」の成果の一部を発表します。

<東京大学とトレンドマイクロによる産学連携の背景と目的>

 コンピュータウイルスや有害コンテンツはもちろん、Web技術を悪用した不正プログラムや迷惑メール、フィッシング詐欺、インターネットでの情報漏えいなどの脅威は、複雑・巧妙化し全世界でユーザの安全を脅かす存在になっています。  東京大学とトレンドマイクロは、安心・安全な社会基盤の実現に向けて、情報セキュリティに関連する新たな知見と技術の創出を目的に共同研究を行います。この取り組みによる成果によって、将来的に日本、アジアのみならず、グローバルにおける情報セキュリティの問題解決に寄与する考えです。  トレンドマイクロは2007年1月、「Proprius21」に参画し、東京大学と産学連携のフィージビリティスタディ(実現可能性の予備調査)を開始しました。現在、第1弾の「Webリンクの構造解析」共同研究と並行し、振る舞いによる悪性プログラム検知技術などのその他の研究課題についてのフィージビリティスタディを進行しています。

 

<第1弾の共同研究「Webリンクの構造解析」について>

 今日のインターネットにおける「Webからの脅威」を理解する新たな知見と対策技術の向上を目的に、詳細にカテゴリ分類されたトレンドマイクロの膨大なURLデータベースを利用し、東京大学大学院の情報理工学系研究科講師の増田直紀と経済学研究科21世紀COEものづくり経営研究センター特任准教授の安田雪が解析を行う取り組みです。研究の主な結果は以下の通りです。

■研究の目的
1.Webサイトのリンク構造の把握
 どのような危険・有害サイトがどこに存在し、どのようなサイトと結びついているのか を把握する。
2.1に基づく対策技術の向上
 リンク構造の理解に基づき、動的なWebサイトの採取やカテゴリ分類の精度向上、Web 閲覧時の危険度予測技術への応用可能性を検討する。

■研究実施の概要
・期間: 2007年6月から2008年1月
・手法: 1200万以上のWebサイトをカテゴリ分類したデータを対象に、各種可視化ツールでの解析を行った(総ページ数:12,472,530、総リンク数:52,708,173、総ドメイン数:339,828)。本研究では、トレンドマイクロのWebコンテンツ評価データベースからランダムに抽出した700のURLを出発点とし、各ページ内のリンクを3ジャンプ先まで辿ることでアクセスできる全てのページを対象とした。これらをトレンドマイクロのデータベースに基づいたカテゴリ分類を行い、東京大学の研究者がリンク構造を分析した。

■分析結果
以下の分析結果により、コンテンツ内容の分析等の言語的情報を用いず、リンク先のカテゴリ傾向や偏りなどをもとに、カテゴリ類推および分類の精度向上を行うことへの適用の可能性を確認した。
1.カテゴリによるネットワーク構造の特徴
  大規模な実データから、相互リンクの密度は性的カテゴリが最も強いことが確認された。ドメインの関係性では、同カテゴリ間の結びつきが強いが、すべてのカテゴリについて、コンピュータ/インターネット関連や検索エンジン/ポータルサイトへの結びつきが強いことが認められた。
2. Webサイトは悪性コンテンツと隣り合わせ
  安全なカテゴリのページからであってもリンクをたどることによって、有害サイトに到達する可能性が高まることが判明した。例えば性的カテゴリに到達する率は、安全なカテゴリから出発し平均で0.27%(出発点から1ジャンプ先)から2.69%(2ジャンプ先から3ジャンプ先)まで上昇した。
3.巨大クリークの存在
 性的カテゴリ内で930ドメインが全て相互リンクする集合が確認された。

 今後両者は、今回で明らかになったWebリンクの構造を元に、更に大規模なデータ収集による解析、情報学ならびに社会科学の知見を活かした研究を進めていきます。

※1 東京大学産学連携本部が主催する「成果の見える共同研究」を創出するための共同研究立案企画プログラム。研究成果に主眼を置き、共同研究に入る前の段階において企業と大学との間で徹底的に議論して、双方が合意できる共同研究計画を策定するというプロセスである。

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