対談-TREND PARK Vol.10
トレンドマイクロのエグゼクティブと企業・官公庁のお客様、パートナーとの対談
東日本電信電話株式会社 代表取締役副社長 古賀 哲夫 氏
TREND PARK vol.10(2007年11月発行)掲載
セキュアなネットワークの提供は通信事業者の役割のひとつ
NTT東日本のブロードバンドサービス「FLET'S」にセキュリティサービス「フレッツ・ウイルスクリア」が加わりました。Bフレッツ/フレッツ・ADSLのユーザが月額420円で利用できるこのサービスで、同社は顧客にさらなる安心を提供したい考えです。古賀哲夫副社長に話を聞きました。
月額セキュリティサービス フレッツ・ウイルスクリアが登場
大三川
フレッツのテレビCMが新しくなりましたね。SMAPの中居さんと草薙さんを起用して、コミカルで面白いと社内でも評判です。
古賀
ありがとうございます。
大三川
楽しいだけでなく、ウイルスクリアをアピールしていただきありがたく思っています。フレッツ光とセットでウイルスクリアに申し込めば、月々420円で3台までのパソコンをウイルスから守ることができるというサービス内容がよく伝わります。
※http://www.ntt-east.co.jp/gallery/tv/cm_flets.htmlでテレビCMをご覧いただけます。
古賀
ブロードバンド化が進んで光の時代になれば、ウイルス対策はユーザのパソコンだけでなく、広い帯域を活用してネットワーク側でも行なうようになってくるはずです。その実現に向けた第一歩として提供を開始したのが今回のウイルスクリア。
大三川
ウイルスクリアという新サービスの提供でめざしていることは何ですか。
古賀
ユーザに対して、的確なセキュリティ対策によってパソコンに保存したさまざまなデータを守るという意識や習慣を持ってもらうことは、社会インフラを担う通信事業者の役割です。そこで、単にウイルス対策ソフトを販売するというアプローチはとりませんでした。月額利用料金をいただくサービスとして提供することで、ウイルスやスパイウェア、フィッシング詐欺など、インターネットの脅威についてユーザが深く考えるきっかけになればいいなと考えています。
ある調査では、ウイルス対策を実施していないインターネットユーザは20~30%もいるという結果が出ています。セキュリティ啓発活動がまだまだ足りていないのは、我々通信事業者の怠慢だともいえます。ウイルスクリアを前面に出したテレビCMを打ったのも、インターネットを使う人にとってセキュリティ対策が絶対に必要ということをアピールしたかったためです。
大三川
ウイルスクリアの加入状況はいかがですか。
古賀
好調ですよ。将来はフレッツ光の新規ユーザの半数がウイルスクリアに加入してくれるといいなと思っています。
NGNに向けた取り組み
大三川
NTT東日本さんは、お客様が回線を契約するタイミング、パソコンを買うタイミングと、あらゆる場面で訴求方法を変えながらさまざまなサービスやコンテンツを上手に提供しているなと感じます。
古賀
コンテンツについてはわれわれ本来の役割ではないのかもしれませんが、フレッツ・スクウェアは多くのお客様に楽しんでいただいています。もうそこまできているNGN(Next Generation Network:次世代ネットワーク)は光が前提ですから、セキュリティ管理を万全にし、高解像度の映像を運ぶことのできるネットワークインフラの“高速道路”としての役割をきちんと果たしたいと考えています。
大三川
光回線を高速道路にたとえるなら、セキュリティは中央分離帯のようなものになるのでしょうか。
古賀
中央分離帯を作るのも通信事業者の役割ですし、トレンドマイクロさんの協力を受けることで、インターネットの世界を安全にするための警察か保安官のような存在にならなければならないでしょう。NGNは2008年3月頃に商用サービスを開始し、本格的な取り組みは第二四半期頃になる予定です。NGNの時代になると、高速道路が家の前までひかれることになります。
IPv6対応のネットワーク家電も高速回線でつながり、家の外から家電にアクセスしてコントロールできるようになります。
大三川
利便性の裏には危険性も伴います。NGN時代には新しいセキュリティが求められることになりそうです。
古賀
情報家電も脅威から守る必要が出てきますから、少なくともパソコンにウイルス対策ソフトをインストールするという対策だけでは不十分になりますね。
大三川
脅威の質も変わってきそうです。
古賀
正直なところ、悪いことをする人たちが何を考えてどんな脅威を生み出すのか読めません。悪意のある人が不正に他人の家にアクセスして、風呂を沸騰させてしまうようなケースも考えられます。
大三川
生活がネットワークの上に乗ることになるわけですから、セキュリティは生活を守ることにつながります。われわれも、社会インフラを安全で安心なものにするために協力させていただきたいと考えています。
進化した日本のネットワーク
古賀
あまり知られていませんが、日本のインターネット環境は、世界でもっとも速くて安いのです。ブロードバンドの定義を「20~30Mbpsのスピードが上り下りで出ること」とすれば、それを実現できているのは日本だけと言っても過言ではありません。ところがせっかくのハイレベルなインフラを使いこなせていないことが残念です。Google EarthやyouTubeのような新しいアプリケーションは米国で開発されていますが、そうした画期的なサービスが日本で開発され、ハイレベルなインフラを活用したアプリケーションサービスとして日本から発信できればいいなと思っています。
大三川
日本の人口あたりのパソコン普及率は、米国の人口あたりのパソコン普及率の半分にすぎません。米国では税金を納めるときも、自分たちで会計処理をする必要があるため、パソコンの普及が進んだ側面があるそうです。また、教育機関もIT教育に熱心で、子どもたちが小さな頃からパソコンに触れる機会が多い。米国でさまざまなサービスが生み出されるのは、そうしたベースがあるためだと感じます。今後のNGNでは、高品質かつハイスピードなネットワークを利用したアプリケーションの存在が必然性を持ってくるわけですから、さらなる啓発活動に期待したいところです。
古賀
NGNの時代になると、アプリケーションはパソコン向けとは限らなくなります。日本は世界に先駆けてNGNに乗り出すわけですから、最先端のネットワークを使った日本発のサービスが生まれてくることに期待しています。情報家電を保護するためにはどのようなセキュリティが理想なのかも考えておかなければいけませんね。
大三川
インターネットの脅威は愉快犯から金銭目的などの犯罪型に移行していますが、さきほど風呂が沸騰する例が出たように、再び愉快犯の作ったウイルスが流行する可能性もあると考えられます。そこで大切になってくるのは、ネットワークセキュリティです。われわれは、ネットワークの状況をリアルタイムに監視しながらセキュリティ管理をできるソリューションを開発しています。
古賀
新しいソリューションにも期待していますよ。
大三川
本日はありがとうございました。
古賀 哲夫(こが てつお)
1971年3月早稲田大学政治経済学部卒業後、日本電信電話公社入社。北九州支店長、情報案内営業部長、東日本電信電話 営業部長などを経て、2002年6月常務取締役(営業部長)に就任。一貫してNTT東日本におけるブロードバンド・サービスの普及に尽力してきた。2005年6月代表取締役副社長に就任。現在に至る。


