トップメッセージ 取締役 日本地域担当 大三川 彰彦

スピードとクオリティでお客さまのビジネスをバックアップ

ネットワークの脅威にどう対抗するかはすべての企業の焦眉の課題。トレンドマイクロは今後どのように企業を守っていくのか、日本トップに聞いた。

 

1.最近の脅威と、それに対抗するために

大三川彰彦

■最近のネットワークに対する脅威について、どのようにお考えでしょうか?

スパイウェアによるオンラインバンキングの不正引き出し事件や、ネットワークウイルスなど、愉快犯から金銭目的の犯罪にウイルスの目的が変わってきています。これまでのウイルスは、作者が自分の技術を誇示したり、データを破壊するといった愉快犯が多いと言われていたのですが、最近ではスパイウェアなどを利用して情報を得て、そこで得られた情報を売買したり、金銭を搾取するといった、より犯罪的なものに変わってきています。
また、セキュリティパッチの公開からネットワークウイルスによる攻撃開始までが短期化していることも注意すべき点です。2001年9月に大規模感染を引き起こしたNIMDA(ニムダ)は、セキュリティパッチの公開後、ウイルス発生までに約1年を要しました。しかし、2005年8月13日に米国で発生した「WORM_ZOTOB.A」(ゾトブ)は、8月9日(米国時間)に公開されたばかりのセキュリティホールを悪用し、ネットワークを通じて感染を広げました。セキュリティホールが公開されてからわずか4日でそれを悪用したウイルスが出現するなど、セキュリティホール公開から新種ネットワークウイルス出現までの期間は時を経るごとに短くなってきています。日本は、ブロードバンド環境が整っており、家庭でもインターネットの常時接続が主流になっているので、気がつかないうちにウイルスが蔓延する危険性をはらんでいます。これら新しいインターネットの脅威に対し、迅速かつ適切なソリューションが求められているといえるでしょう。

 

■大半の企業ではウイルス対策を導入していますが、ウイルス感染や情報漏えいのニュースが絶えませんね。

多くの企業では、すでにウイルス対策ソフトを導入されています。しかし、本当に正しい対策が行われているか、もう一度考えてみることが重要ではないでしょうか? セキュリティ対策を正しく行うためには、情報がどこから入ってきて、社内のどこに集まるのかを把握する必要があります。人、情報を含めた資産の管理を見直し、自社がどのような情報を資産として持っているのか、IT部門のみならず、企業のトップも認識している必要があると思います。
なぜなら企業に蓄積されている情報は、その会社のかけがえのない財産であるからです。それらをどのように保護していくかと考えることが、セキュリティ対策につながっていくものだと思います。会社としてどれくらいのお金や資産を持っているか経営者は必ず把握しています。情報の価値を認めることにより、その情報を保護し、運用するコンピュータやネットワークの重要性も再認識されるはずです。システムを正しく見直すことにより、必要なセキュリティ対策が見えてくるのです。

■トレンドマイクロが提唱するセキュリティソリューションとは?

インターネットの脅威が高度化する中、企業のお客さまは、複合的な感染能力を持つウイルスの検知・駆除から復旧までトータルでサポートする必要性が出てきています。さらに、昨今のウイルスの進化や変化は早く、セキュリティベンダーには高度の技術力と迅速なサービスが求められています。
そこで、トレンドマイクロは、「Trend Micro Enterprise Protection Strategy」(ウイルスの大規模感染ライフサイクル統合管理)というソリューションを提唱しています。これはウイルスの大規模感染拡大によるネットワークの停止や生産性の大幅な低下などを防ぎ、ビジネス稼動の継続性を守る次世代のウイルス対策ソリューションです。
「Trend Micro Enterprise Protection Strategy」はネットワーク、アプリケーション、サービスの各レイヤーにおいて、

  1. 脆弱(ぜいじゃく)性の診断による事前予防措置の実施
  2. 不正プログラムの発生を検知し、予防措置を講じる
  3. 感染した機器を確認して被害の拡大を防ぐ
  4. システムを復旧させるソリューションを提供する
 

Trend Micro Enterprise Protection Strategy

というように、インターネット上の脅威の発生から修復までのライフサイクルをトータルで管理します。
弊社でご提供しているセキュリティ対策ファイルは、10種類にものぼっています(図参照)。ウイルスパターンファイルはもちろんのこと、新しい脅威であるスパイウェアのパターンファイルやOSの脆弱性診断パターンファイル、ネットワークウイルスパターンファイル、スパムメール判定ルール、感染後の復旧を行う各種クリーンナップテンプレートなど、最適なタイミングでお客さまに配信しています。
新種のネットワークウイルスに関しても、ネットワークウイルスパターンファイルを脆弱性公開後すぐに配信することにより、同じ攻撃手法を用いる亜種のネットワークウイルスも検出できます。「WORM_ZOTOB.A」においては、亜種が次々と発生しましたが、ネットワークウイルスパターンファイルにより、出現前に対策を行うことができました。
「Trend Micro Enterprise Protection Strategy」は、トレンドマイクロならではの、お客さまのシステムを守るセキュリティソリューションであるといえるでしょう。

■セキュリティ専任者などの人材確保が企業においても問題になっています。特に中小企業では人材不足に悩みを抱えていると聞きますが?

IT 導入の問題点を、人材不足とする中小企業は、36.5%もあります(『中小企業におけるIT利活用に関する実態調査報告書』中小企業庁、平成15年12 月)。しかし、IT化に取り組まなければ、ビジネスのスピード感を失い、時代に乗り遅れてしまう危険性もあります。その上でセキュリティは欠かせません。企業として最低限の守りをしていれば、有事の際にも対策をとり、ビジネスを継続できますが、危機意識の低い企業は、ビジネスの場から締め出されてしまいます。そこで弊社では、ネットワーク社会で安全にデジタル情報の交換をしていただくための素材をご提供しているわけです。
中小企業向けの具体的なソリューションとしては、「認定レスキューパートナープログラム」に参加するパートナー企業よりお客さまに提供する出張サポート「トレンドマイクロ認定レスキューサービス」があげられます。本サービスは、パソコンの動作がおかしい、ウイルスの駆除に苦労している、対策の方法がわからない、とお困りの企業に「認定レスキューパートナー」のスタッフが訪問し、感染の診断、問題の切り分け、ウイルスの駆除、対策の相談までサポートするものです。お客さまが円滑に問題を解決できるよう、ウイルス情報ページからスムーズにアクセスできる「認定レスキューパートナー」の紹介ページを用意していますので、緊急事態に直面したお客さまも、全国に渡るパートナーから、お客さまの地域のパートナーを検索し、即座に出張サポートを依頼できます。
また、ウイルス対策をアウトソースできるサービスも弊社パートナーとともにご提供しています。お客さまの社内ネットワーク環境におけるウイルス対策状況を常時監視し、最新のパターンファイルの更新、設定変更やログ調査に至るまで、ウイルス対策業務のすべてをアウトソースすることができます。
弊社では、お客さまに安心して弊社製品やサービスをご利用いただくには、高度な技術力はもちろんのこと、これに加え緊急時に現場へ駆けつけることができる機動力が重要だと考えています。スピードとクオリティの両立です。
そのため、全国各地のパートナーと多く連携し、実際のお客さまにはお客さまの環境を熟知したパートナーからサポートを提供していただき、弊社はパートナーに情報やツールを提供させていただくサービス展開を行っています。
間接的な手法ではありますが、全国の企業の力になりたいと考えております。

2.最適なタイミングで最適なソリューションを提供するために

■これからのセキュリティはスピードとクオリティの両立が必要不可欠だということですね。これを実現するための取り組みを教えてください。

迅速かつ高度の技術力がセキュリティベンダーに求められている今、弊社では、インターネット上の予測不可能な脅威から、社会を守り、安全にデジタル情報を交換できる世界を実現すべく、

 
  1. さらなる品質向上
  2. お客さまへの迅速かつ適切な情報提供
  3. セキュリティ啓発活動
 

といった大きく3本の軸から活動を行っています。
まず、さらなる品質向上への取り組みとして、パターンファイルの作成時の検査工程を改善し、検査の自動化を促進することに加え、テスト過程の多重化を行うため「トレンドマイクロ テストセンター」を開設しました。また、パターンファイルの誤警告を削減し、検出の制度をより高めるための「ノーマルファイルバンク」を強化しています。加えて、インターネット全体のセキュリティレベルを向上すべく、トレンドマイクロ製品のお客さま以外からもウイルスと疑わしきファイルを受け付け、新種ウイルスであった場合にウイルスパターンファイルへの対応を行う「ウイルスハンタープロジェクト」を開始するなど、品質を維持した上でタイムリーにお客さまにソリューションをお届けするための施策に取り組んでいます。
第二にお客さまへの迅速かつ適切な情報提供として、有事の際には、弊社からだけではなく、パートナーやハードウェアベンダー、社会インフラ企業との連携により、迅速にお客さまに適切な情報が伝えられる仕組みを構築しています。
第三に、セキュリティ啓発活動として、地域コミュニティやシニアネットと協力し、セミナーなどを実施しています。夏休みに開催した子供向けセミナーも同様の取り組みの1つです。
また「インターネット・セキュリティ・ナレッジ」という、一般の方々がネットワークの脅威や対策について学ぶことができる情報サイトを開設するといった取り組みも実施しております。

3.今後の事業展開について

■今年後半の取り組みについて教えてください

スパイウェアやスパムメールが発端となる様々な事件が発生しています。このような脅威に対抗するために、2005年5月に買収したInterMute社、6月に買収したKelkea社のテクノロジーを搭載した製品やサービスを提供していく予定です。
9月20日に発表を行いました「Trend Micro Network Reputation Services」は、Kelkea社がこれまで蓄積してきたスパムメール対策のソリューションを、トレンドマイクロのサービスとして提供するものです。これは、16億(2005年9月時点の情報)を超えるスパムメール発信元のIPアドレスのデータベースを元にお客さまに送信されるスパムメールをネットワーク上で排除するものです。BOT対策に極めて有効なソリューションになると期待しています。
また、コンシューマ向けのソリューションとしては、「ウイルスバスター2006 インターネット セキュリティ」を11月から発売します。本製品は、ウイルスはもちろん、新しい脅威であるフィッシング詐欺/スパイウェア対策を充実させ、インターネット初心者から上級者まで様々なお客さまに安心してご利用いただける製品になっています。進化し続ける様々なインターネットの脅威を防ぎ、より安全にインターネットを利用できる環境の構築を目指します。

 

■最後に、トレンドマイクロを支えていただいているお客さまやパートナーの皆さまにメッセージをお願いします。

トレンドマイクロは1988年創業、セキュリティ製品やサービスをお客さまに提供する企業です。よく外資系企業と間違われることがありますが、本社は日本にあるグローバルな企業です。
弊社は、常にお客さまの立場になって考え、絶えず技術革新を続けること、間違いを認め、そこから前向きな態度で学び続けることを心がけています。
これからも、トレンドマイクロは、総合的なセキュリティサービスを提供するサービスカンパニーとして、日本全国をフルカバーする6000以上のパートナーとともにネットワーク社会全体に貢献していきたいと考えております。
これからのトレンドマイクロにご期待ください。